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びじゅチューン!DVD BOOK [書籍紹介]

おはようございます。

今朝は、少し前に出版された本というかDVDというか、そういう書籍を紹介します。
タイトルにもある「びじゅチューン!DVD BOOK」です。

びじゅチューン!DVDBOOK.jpg

びじゅチューン!DVD BOOK


この本は、2年くらい前からNHK教育(Eテレ)で断続的に放送されている「びじゅチューン!」なる番組の一部をDVDに収録し、解説などを本にまとめ、DVDと本とをセットにしたものです。

作者は、井上涼(いのうえ りょう)さんという映像作家の方です。普段は「赤ずきんと健康」とか「マチルダ先輩」(連作)といった映像美術作品を創作されている方であり、プロジェクションマッピング(物体に映像を投影する表現技法)による作品も沢山発表されている人物であります。

内容は、古今東西の美術作品を独自に解釈し、印象的な歌唱に乗せたアニメーションによって紹介するというものです。

井上さんの解釈では、「風神雷神図屏風」は男性カップルの秘密のデートであり、「ビーナスの誕生」は、何だか謎めいた陰のある転校生の登校シーンになる、といった具合に、実に自在な目で作品を捉えていらっしゃいます。

びじゅチューン!(風神雷神図屏風デート).jpg

本の中身


私こと不肖讃岐人は美術に関する知見を一切有さないので、「歴史的に名の知られた美術作品」というものに接するとき、なんとなくこれまでにその筋の学識を有する方々の解釈、それは美術の解説書などにあるようなものですが、そういう美術館の図録や画集的な、ある意味正当な解釈に引っ張られて「こうでなければならない」という目で見てしまいがちでした。

でも、よくよく考えてみると、制作した本人がその制作意図を語らない限り、そこにあるのは「誰かの解釈」でしかないんですよね。(まあ、能楽やバレエなどの踊りの所作には歴史的に積み上げられてきた「意味」があるのと同様に、絵画や彫刻の表現にも歴史や文化に基づく意味が込められてはいるのでしょうが。)

そういったものを全てとりあえずナシにして、「誰かの解釈」を借りてくるのではなく、自分の好きなように美術作品を観る。一見すると、無教養で無作法な鑑賞法に思えますが、もしかすると、美術作品と一般に呼ばれるものは、本来はそのように見られるべきなのかもしれませんね。

そこから興味を持っていろいろと考えたり調べたり、教わったりすればよいわけで、はじめから「こうだ」と決めつけることが、自分の世界を狭めてしまうのかもしれません。

と、まあこういったことを「びじゅチューン!」を観て思いました。


最後にいくつか私が遺憾に思うことを書いておきます。

ひとつめは、「あしゅらコーラス」が入っていないことです。
「あ~しゅら、しゅら、しゅら、しゅら~」という歌詞が印象的な、記念すべき第1回放送なのに入っていません。私、これを放送時に観てから、夢中になって井上涼さんの作品を観まくりました。NHKのWebサイトで公開されている過去映像にもありません。どこかからクレームでもあったのでしょうか?

ふたつめは、各作品が放送時と異なり一部カットされていることです。
放送時は最初に井上涼さんのソロ歌唱、それから簡単な解説、次に男声コーラスグループ「ジョリー・ラジャーズ」も加わった歌唱、最後にクロージング、という構成でしたが、ソロ歌唱部分が全部カットされていました。

そういう点では少し残念なところはありますが、全体的に満足できる内容でした。
興味がある方は、ぜひ手に取ってご覧になって下さい。全国の書店やDVD取扱店にあると思います。

一部映像はNHK教育(Eテレ)のWebページで閲覧できます。
また、今は日曜の午後5時55分から新作が放送されていますので、お時間があればご覧になってみて下さい。

それでは!!

~リンク~
NHK教育 びじゅチューン!
http://www.nhk.or.jp/bijutsu/bijutune/
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