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キラキラネームの大研究 [書籍紹介]

おはようございます。

ご来訪ありがとうございます。三連休、終わってしまいましたね。私は土日休でしたが、皆さまは秋の行楽など楽しまれましたでしょうか?

ところで、今日は2年前にアンパンマンの作者、やなせたかしさんが亡くなった日なんだそうです。

私こと不肖讃岐人の中では、アンパンマンは、こどもにはしまじろうと並ぶ人気があるという認識であります。「しまじろうとアンパンマンを比べるなど」とお叱りを受けてしまうかもしれませんが、こどもたちは正直なものです。アンパンマンもしまじろうも好き、というお子さんも多いかと思います。もちろん、一方が好き、とか、両方好きではない、もありだと思います。

さて、前置きが長くなってしまいましたが、ここからが本題です。今日はいつもと趣向を変えて、書籍紹介です。いちおう、この「讃岐人日記」には「書籍紹介」なるカテゴリーもありまして、まれに、読んだ本の所感をだらだらと述べることがあります。

で、今日ご紹介するのは「キラキラネームの大研究」(新潮新書618)という本です。新潮社から2015年(平成27年)の5月に出版され、著者は伊東ひとみ(いとう ひとみ)さんという方です。

キラキラネームの大研究.jpg


内容は、著者が「キラキラネーム」あるいは「DQNネーム」と一般に称される、最近の日本人の命名について、古くは「古事記」や「日本書紀」の編まれた時代から、近代・現代に至るまでの各種の資料(史料)を駆使し、「キラキラネーム」に対する「違和感」の正体を探る、というものでした。

「キラキラネーム」あるいは「DQNネーム」と称される名前については、インターネット上では概ね批判的な取り扱いがなされ、時には命名を行った人物(大抵はお父さん、お母さん)に対する人格否定的な批判もなされることがあるように思います。

伊東さんは、キラキラネームに「違和感」を抱きつつも、その立ち位置は概ね中立的で、危機感をあおったり、批判を加えたりすることもなく、一方で無条件で受け入れるということもなく、「なぜ、両親ともに普通の社会生活を営む家庭で、このような名づけが行われるのか。」という疑問に向き合い、現代日本語形成の歴史的な経緯を踏まえつつ論を展開されていました。

そこで著者が導き出した結論は、私なりに乱暴にまとめると、現在の命名の根底にあるものは、日本人が長い時間をかけて日本語に取り入れてきた漢語的伝統の断絶にあり、「日本語が危ない」のではなく、すでに現代日本語は戦前期の教育体系、社会体系により維持されていた日本語とは異なるものになっていて「日本語はすでに変質している」というものでした。

では、誰が変質させたのか、それは一方では連合国軍総司令部であり、一方では日本人自身であります。明治維新は和魂洋才で乗り切った日本人も、第二次世界大戦の敗北で、和魂的な、日本語のいわゆる「伝統」を捨て去る決心をした、そのことが「漢字」を「感字」にしている、とのことでした。

著者が本書を通じて伝えたいメッセージは、「キラキラネーム」を通じて見えてきた現代日本語の問題、すなわち、今の日本人が過去の日本人が営々と築いてきた「日本語の伝統」を忘れ去り、日本語の変容を放置してしまっていることが、日本語の活力を失わせ、やがては日本語を薄っぺらな記号のようなものにしてしまうのではないか、という危惧であるようです。

それは、単に日本語という言語だけの問題ではなく、日本文化、文明に対する警鐘であるように思いました。

どうしても難しくなりがちな内容でしたが、章と章の間にはちょっとした息抜きのようなコラムもあり、疲れずに読める工夫がなされていました。

もし、興味を持たれたなら、ぜひご一読をお勧めいたします。

最後に、おわびとお願いです。
できるだけ、目を通して下さった皆さまのブログを訪問するようにしておりますが、遅れることがあります。また、その場合、読んでいなかった記事をまとめて読み、niceを読んだ分だけ複数つけることがございますことをご了承ください。

それでは!!

2015年10月13日0730 記事修正
2015年10月14日0450 記事修正
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コメント 6

まき

ほんとキラキラネームは読めないし、ビックリしますよね!
この本は読んでみたいです。
by まき (2015-10-13 13:11) 

しきみ

私もこの本読みました。
中々先に進まず、3か月以上かかって読み終わりました・・・。
by しきみ (2015-10-13 21:49) 

ろみ

今度、図書館で探してみます。
日本の文化は漢字抜きには考えられず、その漢字も、表意文字であることを忘れている人が多すぎるように思います。無理な当て字をするくらいなら、仮名で書け!と怒りを感じている私です^^;
by ろみ (2015-10-13 22:23) 

讃岐人

まきさん、おはようございます。
この世でひとりしかいないわが子に最高のおくりものを、という気持ちはわかりますが、本人と家族しか読めない「秘密の符牒」のようなものになってしまっているようでは、少し考えてしまいます。
明治時代の「キラキラネーム」的な名づけ(例えば、森鴎外の長男の「於菟(おと)」など)と現代の「キラキラネーム」とが本質的に異なることなども、丁寧に例証されていますので是非手に取ってみて下さい。
コメントありがとうございました。
by 讃岐人 (2015-10-14 05:02) 

讃岐人

しきみさん、おはようございます。
実は私もひと月近くかかりました。読み始めたら一気に読めるのですが、まとまった時間を取れませんでした。
コメントありがとうございます。
by 讃岐人 (2015-10-14 05:03) 

讃岐人

ろみさん、おはようございます。
仰るとおりです。表意文字である漢字は一字一字に意味がある、ということくらいは踏まえて使用してもらいたいものですね。
そういったことについても丁寧に説明されていますので、ぜひ読んでみて下さい。
コメントありがとうございます。
by 讃岐人 (2015-10-14 05:13) 

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